公認会計士・税理士 根本 守 のブログ

私は、所属する協働公認会計士共同事務所において、日本の数多くの「非営利・協同」組織の経営や会計に関する支援業務を行ってきました。「非営利・協同」組織を今後も応援しさらに大きく広がってほしいと願う立場で、このブログにおいて「非営利・協同」の様々なことを述べたいと思います。なお、過去に事務所のホームページ等に掲載した文章も、現在でも有効と思われるものは(例えその後に法令等が改定されているものであっても)そのまま転載しています。(2019年8月)

非営利・協同と一般法人

1、非営利・協同と法人形態 非営利・協同の意義としては、一般に以下のような要件があげられる。 ① 事業(活動)目的の非営利性、公益性② 所有、分配の非営利性、民主性③ 参加、運営の民主性 当事務所が関与する多くの法人、団体、組織も、それぞれ多彩では…

大災害の中での円高-市場経済万能論批判-

岩手、宮城、福島等東日本大震災の被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。原発事故をはじめ予断を許さぬ状況が続いていますが、気持ちを強く持っていただくよう願っております。 さて、日本が大災害に見舞われている中、経済面では円高の急激な進行が…

自治体病院の財政をめぐる法的規制など

県立、市立等の自治体病院をめぐっては、この間自治体財政の逼迫を背景に、再編統合、民営化などの動きが盛んです。昨年の民主党政権の誕生後も基本的な政策の変更はなく、自治体病院の存続が危うい状況は全国的に広がっており、「地域医療の崩壊」現象の象…

ペレストロイカ以降のロシア経済体制について

1998年に協働として資本主義化を進めるロシア企業の視察を行い訪問記を出版したりもしましたが、昨年夏10年ぶりにモスクワ、サンクトペテルブルグを訪れることができました。10年前の1998年訪問時には、さすがに商品購入の行列を目撃することはなかったものの、経済的な厳…

公益法人制度改革と税制改定

07年9月に内閣府より法人制度改革3法の関係規則が発布され、また、12月には与党税制調査会及び財務省より税制改正大綱が公表され、公益法人制度改革及び税制改定の骨格が明らかとなった。 引き続き詳細不明な部分はあるが、とりあえずの概要をお知らせすると…

医療法人制度改革(社会医療法人)が07/4月より実施に

医療法改定案が国会を通過し、07/4月に施行の予定となっているが、特にその中で、医療法人制度に対する抜本改定がされている。ここでは、改定の概要とその中での「目玉」である社会医療法人制度の概要を説明したい。 1,医療法人制度改悪の概要 (1) 従来の…

プロスポーツと非営利・協同-その3-

プロスポーツを巡って、非営利・協同の立場から、その理念、目的(その1)や組織形態(その2)について考えてきたが、最後に、プロスポーツと経営、利益について考えてみたいと思う。 ご承知の通り、この間の近鉄バッファローズとオリックスブルーウエーブとの合併、球団消滅を巡るご…

プロスポーツと非営利・協同-その2-

その1では、プロスポーツを巡って、非営利・協同の立場からその理念、目的について考えてみた。今回は、その組織の形について考えてみたいと思う。 「形なんてどうだっていい。要は中味だ。」などという至極まっとうな意見もあり、それは一面その通りだと思うが…

プロスポーツと非営利・協同-その1-

読者のみなさんの中にもプロ野球ファンの方がたくさんおられると思う。私が担当している法人の方の中にも阪神タイガースの熱狂的ファンがおられる。甲子園球場の年間チケットを購入して、京都から甲子園まで熱心に通っている話をうかがい、「優勝したら道頓堀にと…

商法(会社法)のこの間の改定動向と今後の方向

商法(会社法)等が、21世紀に入り連続的に改訂されてきています。今後も、条文自体のカナ文字表示から平がな表示への変更をはじめとして、大幅な改訂が予定されているようです。非営利・協同の法人の場合、株式会社や有限会社といった商法等が規制するもの…

クイズ 税務調査

最近、非営利・協同の法人や団体に対する税務調査が増えています。中には、法人税消費税の申告をしていないところに対して、源泉所得税の調査を「口実」に調べにきたもしているようです。 そこで、少しざっくばらんな形で、税務調査への対処法を紹介してみた…

決算書における真実性-日本道路公団の決算書を巡って-

決算書作成のための基本ルールに「真実性の原則」という基準があります。決算書は経営の状況につき真実を伝えなければならないということです。なんだか当たり前のことのように思いますが、実はそうでもありません。世の中には、真実を表していない決算書、「う…